事故で入院。じゃあ、クビにしとくから、一生休んどけよ。 俺が部長に電話して状況を伝えると、彼は心配するどころか、バカ笑いしていた。 いやぁ、窓際社員はこの会社に必要ないからね。もう明日から来なくていいぞ。 わかりました。 彼にとって俺は捨て駒の一人なのだろう。 俺は部長の言葉を受け入れ退職へ。 この一件を機に、彼は自分の立場を追われることになるとは、まだ知るよしもなかった。 俺の名前は佐々木健二、32歳。大学を卒業して上京。 狸株式会社に入社してから、今年でちょうど10年になる。 今は総務部に所属しているが、地味な見た目のせいか、周囲からは使えない男とみなされ、任される仕事は誰にでもできるような雑務ばかりだ。 この資料、倉庫に運んでおいてくれ。 そう言ってきたのは、霞津義、48歳。名門大学の出身でプライドが高い。 はい、わかりました。 俺は言われた通りに資料を抱え、倉庫へと運ぶ。 そんな俺の背後からは、霞部長の声が聞こえてきた。 いい歳して雑用しかできないなんて、佐々木は総務部の鬼物だ。 その言葉に森川がすかさず応じる。 本当ですね、佐々木さんって、いてもいなくても同じって感じ。 森川綾乃、24歳。肩までカールした髪が印象的な美人。上司に取り入るのが得意だった。 そんな二人の横で別の社員が言った。 でも佐々木さんって、誰よりも早く出社していますよね。 その一言に森川は首をかしげる。 確かに、そんなに早く来て、何してるんだろう。 霞部長は顔をしかめ、不機嫌そうに吐き捨てた。 使えない奴はどんなに早く来たところで、結局は役に立たんよ。 倉庫に着いた俺は資料を脇に置き、思いその扉を開けた。 中は案の定、散らかり放題。年度始めはいつもこうだ。 床には段ボールや書類が無造作に置かれ、足の踏み場もない。 俺は深く息を吐いて周囲を見回し、抱えていた資料を決められた棚へ静かに置いた。 その日の夕方、営業部の斎藤がやってきた。 すみません、新人研修の資料なのですが、受け取りに来ました。 担当している森川がため息混じりに言う。 すみません、実はまだできていないんです。このパソコン、ずっとエラー続きで。 森川は自分のパソコンを斎藤に見せ顔をしかめる。 斎藤がパソコンを操作してみるものの、状況は変わらない。 ダメだな、セキュリティロックがかかってる。 パソコン内のデータさえ取り出せませんね。 明日管理部に頼むしかないか。 そんなやり取りの最中、笠谷部長が部屋に入ってきた。 誰か、今日倉庫に入ったか? 他部署から散らかってるって連絡が来たが、さっき見たら見事に片付いていたんだ。 誰がやったんだ? 誰も手を挙げる者はいない。全員顔を見合わせて首をかしげるだけだった。 まあ世の中には不思議なこともあるもんだ。 そう言って笠谷部長はさほど気にする様子もなく、自分の席へと戻っていく。 仕事が終わったら早く帰るよ。俺は今日用事がある。 そう言いながら、鞄を手に取り支度を始めた。 斉藤が遠慮がちに声をかける。 部長、実は森川さんのパソコンがエラーを起こしてまして。 笠谷部長は面倒くさそうに顔をしかめた。 なんだよこんな時に。 まあいい、明日の朝一で管理部に行っとけ。 森川はその言葉にほっとしたように笑顔を見せた。 じゃあ私もそろそろ帰ろうかな。 その様子を見て斉藤は呟く。 どうしよう。営業部の新人研修はもう明後日だっていうのに。 総務部から資料が届かないと動きようがない。俺だけが社内システムを管理していると知らず、事故に遭い部長に入院報告をすると「クビにしとくから一生寝とけw」俺「わかりました」➡︎そのまま退職し着信拒否した結果w【スカッと】
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事故で1ヶ月は出社できない? どうせお前は無能なんだから退職しろよ。 俺が会社に電話をすると、部長は心配するどころか、笑いながら罵倒してきた。 部長、お言葉ですが、私が抜けて本当に大丈夫でしょうか? おいおい、役立たずの平社員のおっさんがいらくられば、人件費削減になってむしろ助かるぞ。 そうですか。では、望み通り退職した翌日、俺がいない会社では今までに類を見ない大問題を起こし、部長は絶望することになる。 俺の名前は桐島達也。 35歳。産業建設という中堅建設会社の総務部に所属している。 会社では、ああ、桐島か。程度の扱いで。地味な雑用係りというのが定評だ。 朝日がまだ昇り切らない午前7時。オフィスには誰もいない。 だが俺はいつものように出社し、パソコンの電源を入れる。 画面が起動するまでの間、昨日届いた工事現場からの図面を机に広げる。 また修正箇所があるな。赤ペンで問題点をチェックしながら、頭の中で解決策をシミュレーションする。 図面の寸法ミスは、ただの計算間違いだけじゃない。 これが、行政提出書類に反映されると、プロジェクト全体に影響する。 キーボードを叩く音だけが静かな空間に響く。 観光庁提出用の建築確認申請書を修正し、倉庫の建材リストも更新。 誰も見ていないところでこそ、俺は本領を発揮する。 種類からは雑用係と見られているが、実は建築図面から法規制、在庫管理システムまで、 この会社の裏側を全て把握しているのは俺だけだった。 時計が9時を指す頃、エレベーターの音が聞こえてきた。 そろそろ他の社員たちが出社する時間だ。 急いで手元の書類を整理する。塩野谷部長が一番に姿を現した。 48歳。プライドだけは一人前の総務部長だ。 お、桐島。また早いな。何やってる。 おはようございます。 昨日の工事写真データの整理をしていました。 はぁ?大した仕事もないのに早出して。余計な残業代かけるなよ。 にがにがしい表情で言い放ち、自分のデスクへと歩いていく。 すぐ後からやってきたのは同じ総務部の木村葵。
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おい、やめろ。 俺は驚きと怒りを抑えきれず声を荒げた。 突然、熱々のコーヒーが勢いよくかかってきたのだ。 ああ、すまんな。お前みたいな作業員は汚れた方が安心するだろう。 営業部長はうすら笑いとわざとらしい謝罪を口にした。 君は自分が何をしているかわかっているのか。 俺の問いかけに対し、彼は口元を歪めニヤニヤしているだけだった。 売金は熱処理が一番効くって聞いたから試したんだよ。 その態度には、自分が悪いことをしているという認識がまるでない。 しかし、彼が俺の正体を知った瞬間、顔色がみるみる変わっていった。 俺の名前は篠宮裕人、28歳。 大手メーカー、篠宮工業の開発部長をしている。 社長は俺の父、篠宮工造。 いずれは自分が後を継ぎ社長になると言われていた。 だが、それに甘んじるつもりはもうとうない。 今日も作業服を着て自分の足で現場に向かっている。 社員と同じ目線で話し、現場の空気を肌で感じるためだ。 これは、仕事の本質は現場にあるという俺の信念の現れでもあった。 今、俺が任されているのは、新商品の開発プロジェクト。 新たに100億円規模の製造ラインを増設するよう、社長から指示されている。 篠宮工業の未来を左右する重大な案件だ。 その商談のために、俺は業界でも名の知れた、 街道精密の本社へと向かっていた。 本社ビルは都内の一等地に堂々とそびえ立ち、 その存在感は圧倒的だ。 受付で社名を伝え、案内された会議室へ向かう途中のことだった。 「やめてください。」 突如廊下に響き渡った悲鳴のような声。 ただ事ではない空気に、思わず足を止めた。 声のする方へ目をやると、給頭室の中で若い社員が、
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下請けの分際で偉そうにすんな。お前は外で一生待ってろ。 大手取引先に商談に行く俺だが、商談時間になっても現れない。 連絡がついたかと思えば、この始末だ。 仮ににならん話をどうせ持ってきたんだろ、広次貴君。 その後も3時間待たされた俺は、我慢の限界を迎える。 そしてこの商談が流れた翌日、ニュースを見た社長は震え上がることになる。 俺の名前は篠原大地、35歳。 スタートアップ企業ブルースプリング社でリードエンジニアをしている。 小さなラボで長時間かけて開発した浄化装置は、ようやく実用化の目処が立った。 ウォータースキャンシステム、略してWSSと呼んでいる。 見た目は大したことない箱型の装置だが、この中には俺が人生をかけて研究してきた技術が詰まっている。 今日もラボでテストを重ねていた。 泥水のように濁った水をWSSに注ぎ込み、フィルターを通す。 数値を確認しながら微調整を繰り返す作業に没頭していると、背後から声がかかった。 篠原さん、すごいですね。この透明度、ほとんど飲料水レベルじゃないですか。 振り返ると、若手研究員が目を輝かせて装置から出てきた水を見つめていた。 確かに、入れた時と出てきた水では雲泥の差だ。 透明度が増し、有害物質の数値もほぼゼロ。 俺は満足げにうなずいた。 まだ改良の余地はあるが、基本的な機能は確立できた。 これで大規模テストに進める。 ひとしきり結果を記録し終えると、時計を見た。 もう夜の9時を回っている。他のスタッフはほとんど帰った後だ。 片付けを済ませ、ラボを出ようとすると、窓の外に映る自分の姿が目に入った。 地味なグレーのスーツに少し疲れた顔。 大学時代からずっと研究一筋で、派手なところは何一つない。 だが、この地味な外見の奥には、誰にも負けない情熱を秘めている。 きれいな水をみんなに。 俺は独り言のようにつぶやいた。 若手の研究員がそれを聞きつけて、